イギリス、アイルランド系俳優紳士録と映画レビュー:British & Irish Actors'

【映画レビュー】 カウチポテトレビュー

ゴッホ

VINCENT & THEO(1990年/イギリス、フランス、オランダ)

日本公開1991年7月 上映時間140分 MediaDVD
監督ロバート・アルトマン
出演ティム・ロスポール・リスアドリアン・ブリンハンス・ケスティングベルナデット・ジロー
ゴッホ

“炎の画家”と呼ばれるオランダ出身の画家 の生涯を綴る伝記的映画。精神の赴くままに絵を描き続けるゴッホを演じるのはティム・ロス、そして生涯ゴッホを支え続ける弟のテオをポール・リスが演じます。

この作品を観る前に、ゴッホの衝撃的な人生は知っていました。それを知って初めて、絵画を鑑賞するとともにその作者の人生を知るのはとても有意義だなと考えるようになったものです。また、オランダやフランスの風景を実際にこの目で見て初めて、ゴッホの絵にある鮮やかな黄色や青は本当に存在する色なんだと思えるようになりました。私たちの目にそう映らなくても、ゴッホの目には映っていたんだ・・・と。

ゴッホの墓と弟テオの墓は隣同士並んでいるのは有名です。貧困の中絵を描く兄、生活費や絵の具を与え続ける画商の弟・・・とても仲の良い兄弟なんだなと単純に考えていましたが、二人の間柄を重点に描いている本作品が事実だったのなら、そんな単純なものではなかったようです。

絵を売らなくてはいけない画商でありながら、“売れるように描かれた作品”や、そういった絵にしか興味ないゲストに嫌悪感を感じるテオは、自分の家族に加え兄であるゴッホを養うために、矛盾と葛藤に苛まれながら生活をしています。そんな弟の心を知ってか知らずか、生活費や絵の具代、果ては欲しい版画を購入する資金をテオに無心するゴッホ。この時代の画家には多いことですが、ゴッホが存命の内には絵はほとんど売れていませんでした。現在では何十億という値が付き、運良くゴッホの作品を手にした(或いは手元に残していた)人たちの子孫がボロ儲け・・・ということなんでしょうか(昔からそうかもしれませんが、観て楽しんだりインテリアにするためではなく、コレクションするためだったり(自己満足ですね)、客寄せにするために企業がどんどんと絵画の値を吊り上げているわけで・・・飾らない絵画に何の意味があるんだろうと・・・)。

ストーリーは暗いし、話は淡々としているし、ゴッホの人格よりもテオとの関係が主軸なので、流れも途切れ途切れで、正直一般受けする映画だとは思えません。ゴーギャンは出てくるものの、ゴッホとゴーギャンが同居に至る経過や説明が少なかったし、有名なエピソードも客観的に見ているだけの感じだし・・・「どうしてこーなっちゃったの?!」がほとんど加味されていないので、かなり物足りなさも感じました。ゴッホの心情というものは想像するしかなく・・・でも凡人には想像すら難しいのですよね。

以下ネタばれ 反転してご覧ください

テオの息子の名がヴィンセントなのは初めて知りました(事実だとして)。本当に奥さんが名づけたのならば、多分、テオの中の“愛しいヴィンセント”を彼の兄ではなく、息子に置き換えようとしたのではないでしょうか。それほど、彼女から見ても彼らの結びつきは強く、割り込めない何かを感じ嫉妬と不安を感じたのだと思います。

ゴッホの突然のピストル自殺、そして正気を失うテオ・・・もしあのラストが本当ならば一番悲しいのはテオ。正気を半ば失っていても最後まで絵を描き続け、自ら命を終わらせてゴッホに比べ、一人孤独の仲に残され、命が尽きるその日までゴッホを探し続けるなんて・・・。

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